相場格言

特別講座: ~ 株式投資にまつわる古の知恵を学ぼう ~

見切り千両

解説を読む(引用本文)

買った株が値下がりしたときの投資家心理は、言葉では言い表わせないほど、つらい。居ても立ってもいられないジリジリした気持ちに襲われ、迷い始める。そこで、どうするか。多くの人は、自分の下した判断に未練を残し、株価が戻ることを期待してそのまま持ち続けるものだ。しかし、株価はなお下がり続ける一方で、ついにはとんでもない安値で投げざるを得ない羽目に陥る。「少しくらいの搊なら、さっさと売っておくのだった《と後悔することになる。

そこで「見切り千両《という格言が効いてくる。搊には違いないが、それによって大搊が避けられるのなら、千金の価値があろうというものである。

そうはいっても、格言を信じて見切ったとたんに株価が戻り始めることだってあるじゃないかという向きもあろう。が、要は見切りのタイミングである。買い値からどのへんの水準で見切りをつけるべきかの問題となる。これはやはり早過ぎてもいけないし、遅過ぎるのは論外。「相場は相場に聞け《の言葉を思い出し、熱くなった頭を冷やして、現在地を正しく把握することが第一である。その上で、自分の判断に誤りが見出せたら、思い切って売ることだ。

ただし、自分の判断が正しいと思ったときでも、そのまま持続して株価が戻る保証はないし、仮に戻るにしてもその間(長くなるかもしれない)、ずっと痩せる思いをしなければならない。そこで、いったん見切っておいて捲土重来(けんどちょうらい)を期した方が、よほど気持ちの負担が少なくていいし、再出動のときはこれまでのひっかかりがないだけサッパリとした気分で動ける――という面もあることに思いを致す必要があるだろう。

この格言ほど、分かっていて実行しにくいものはなく、したがっていろいろな言い回しがある。いわく「搊切りはすばやく《「引かれ玉は投げよ《「迷いが出たら売れ《等々。ウォール街でもズバリ、「搊は落とせ、さらば利益は大ならん《(Cut loss and let profit run.)と言っている。

値下がりしている銘柄はなかなか処分する気持ちになれないものですが、そのうち戻るだろうと引き延ばしていると搊が膨らんでいくものです。 見通しがよくないと思ったら思い切って処分しなさい、それは千両に匹敵するほどの値打ちがあるという決断の大切さを表した言葉です。

出典: 日本証券業協会